先日、Twitterに関連するサービスが炎上していました。簡単にこの件を述べると、Twitterに投稿されたイラストを機械的に収集し、それらをまとめてWebサイトを構築するというサービスに対し、“絵師”と呼ばれるイラスト制作者たちが反発したという問題です。
機械的に収集されたイラストの表示方法は、Twitterの規約的には問題はありません。しかし、「規約上他のサイトにAPI経由で表示される」ということを了承してサービスを利用している方が、ルール上正しく利用しているWebサービスを“マナー違反”だと糾弾して火がついていきました。詳しくはねとらぼの記事をどうぞ。
法律とルールも難しい線引きですが、ルールとマナーの線引きはもっと込み入った問題になりがちです。ネットでは古くから「ネチケット」と呼ばれる、ローカルルールのようなものがありました。
特にTwitterは利用者が増えて裾野が広がった結果、多くのコミュニティーがローカルルールを作りつつ、全てがフラットにつながっていることがあつれきを生んでいるようです。Twitterを眺めていると、よくこういう事象は見られますね。
上記ねとらぼの記事を書いた記者もその点をよく理解しており、サービス開発者側の見え方とイラスト制作者のお気持ちの両方に寄り添った内容でまとめています。
●SNSでローカルルールは通用しない
恐らく、投稿者(イラスト制作者)からすると「見るならマナーを守って見ろ」という思いがあったのでしょう。しかし、その“マナー”とは、見る人の数だけ存在するごくごく狭い範囲でのもの。投稿者は同好の士にだけ見てもらえればいいと思いつつも、世界に向けて発信しているわけですから、すれ違うのは当然です。
「見てもらいたいけど見せたくない」や「見てもらいたい人だけに見てもらいたい」というのは気持ちとしては分かるものの、今のSNSにおいては現実的ではありません。
特にイラスト周りは権利的な問題もあり、同好の士には見てもらいたいけれど、そうじゃない人からは隠れたいという思いが非常に強いコミュニティーだと思います。
そもそもTwitterのようなオープンなSNSとは相性が悪いとはいえ、インターネットを始める方にとっては、Twitterは最初のインターネットサービスである場合も多く、どこかでこういった衝突を経験することになるのかもしれません。
特にTwitterやFacebook、InstagramなどメジャーになったSNSに関しては「見られたくない人に見られていること」を意識しないといけない時代になったといえます。そこに、ローカルルールともいえるマナーは押しつけられないでしょう。友達に向けて「明日から夏休みで1週間ハワイだ!」と書く人も、自宅は1週間誰もいませんと泥棒に教えたかったわけではないでしょうし。
●ネットが生きづらい時代
自分で書いていても煩わしくなってしまいますが、実際にそれは現実の事件としても表面化してしまっています。特に、有名人においては。
マーベルヒーローが登場する「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」という映画をご存じでしょうか。重くなりがちなアメコミ映画の中で、軽妙なギャグと本格的なアクション、そしてノリノリの音楽で、この手の映画が苦手な人に強くお勧めしたい作品です。
監督はジェームズ・ガン氏。この作品は続編含め、監督の手腕が大変大きいと感じています。この人の作品をもっと見たい……と思っていたのですが、大変な事件が起きてしまいました。元凶はやはり「SNS」です。
ガン監督は10年近く前に、確かに不適切な投稿を行っていました。それが今になって、政治的な理由で掘り返されたのです。
ディズニーは以前、親トランプ派の女優ロザンヌ・バーが投稿したたった1つのツイートが原因で、大人気ドラマを即座に打ち切るという判断を下しています。ガン監督は反トランプ派ながら、親トランプ派による掘り返しのせいで、結果としてロザンヌ・バー同様、今後のマーベル映画製作から離れざるを得ない状況になりました。
これを「10年前だから大目に見ろ」と言いたいわけではありません。「見られたくない人の目に触れるかもしれないけど、投稿したい」という気持ちは、立派な“人間の脆弱性”ともいえるものになったのです。
似たような話は日本国内でも多数発生していて、テレビアニメ化が中止になった作品も。SNSがきっかけで炎上する事例はこれまでも多数存在していたものの、ガン監督の件については、悪意を持って過去を掘り起こして炎上させたという点で、少々毛色が違う問題のような気がしています。とはいえこれも、私が思うマナーレベルのものかもしれません。
●怒りを覚える前に、「フィルタリング」を駆使せよ
ネット上、特にSNSにおいてはさまざまな炎上が起きています。が、そのほとんどは遠い場所で起きたお話で、当事者になっていることは少ないでしょう。そういった、自分と無関係なことに関しては距離を置くことも重要です。
誰かが火を付けても、それを静観することができれば、過度なバッシングも起きないと思います。今必要なのは、自分が本当にその話題に触れる必要があるかという判断力だったり、スルー力といった「フィルタリング能力」なのかもしれません。
そもそも上記のような10年前の発言をやり玉に上げられると、それを消しても怒られるし、修正しても怒られます。弁解しても怒る人がいるでしょう(それが本当に怒るべき当事者かどうかはさておき……)。
もはや何をしたとしても、過去は消せません。起きたことは理解しつつ、内容に見合う以上に責められているようであれば、積極的に話題にしないことで炎上に加担しない、ということも必要です。
このような事件があると、発信者は萎縮します。Buhitterの一件は、開発者に対して「規約にのっとって利用したとしてもバッシングに遭ってしまう可能性」を見せてしまいました。
ハリウッドの大物俳優が次々とTwitterアカウントを閉鎖、削除しつつあるというのも、今回の事件の“成果”といえるでしょう。本当にそれが正しい道筋だとはあまり思えません。
SNSにおける最も無粋な発言は「私が不快だからあなたのその発言やめてもらえませんか?」だと思ってます。マイクロブログサービスTumblrで見た受け売りですが「アウトプットはどんどんやるべし、フィルタリングは各自でやるべし」がインターネットの世界においては正しいと思っています。
とはいえ、それも単なるマイルールでしかないので、SNSは少々、生きづらい世界になりつつあります。
(出典 news.nicovideo.jp)
SNS ソーシャル・ネットワーキング・サービス(英語:Social Networking Service)のこと。 ソーシャル・ネットワーキング・サービスの一覧 さんいんネットサービス(英語:San-in Net Service) 英語圏におけるカーナビゲーション(Satellite navigation 999バイト (115 語) - 2016年12月21日 (水) 13:20 |
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